「スザク、ちゃんとお前寝てるのか?」
「え、どうしたのジノ、急に。ちゃんと寝てるよ」
「ほんとかあ?」
「寝てるって」
「じゃあ昨日何時に寝た?」
「昨日?ええっと…何時だったかな…確か一時ぐらいには…」
「朝は?」
「今朝は…六時半。ほら、五時間半寝てるじゃないか」
「じゃあ何で目の下に隅が出来るんだよ」
「あれ、ほんと?」
目の下に手をやったスザクにジノは大きく頷いてみせる。
「時間が少ないわけじゃないってことはー…眠りが浅いんじゃないのか?」
「そんなことは…」
「だって、お前、夢とかよく見る方だろ」
一瞬答えに詰まったスザクの動揺を見透かしてジノが笑う。
「図星だ」
「なんで、」
「この間ソファーでうなされてた」
「夢は見るけど、それは大丈夫だよ。関係無い」
「そうは見えなかったぜ?」
「そりゃあ夢見の悪い時だってあるよ、ジノだってあるだろ?」
「無い」
「は、」
「夢とか見ない」
「あ、そう…多分普通の人は見ると思うよ」
「そうなのか!?」
「うん、それにジノは心配し過ぎ」
「…そうなのかあ?」
「そうだよ」


夢は、見る。魘されて自分の叫び声に目が覚めることも、起きてみれば荒い呼吸と不規則な鼓動を繰り返し全身にびっしょりと汗をかいていることも決して少なくは無い。だがそれが一体なんだというのだろう?まだジノは納得のいかない様子で眉間に皺を寄せてこちらを見ている。スザクは笑う。



「ほんと、大丈夫だよ」


だって、ジノ。あれはユフィの夢なんだ。